「40代で副業を始めたけど、税金や申告方法がよくわからない。具体的にどんな手続きが必要なの?」

40代になると、キャリアや収入も安定してくる一方で、将来への備えとして副業を始める方も増えています。 しかし、副業収入にかかる税金の計算方法や申告の必要性については、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

  • 副業の収入はいくらから税金を払う必要があるの?
  • 確定申告は必ず必要なの?会社にバレない方法はある?
  • 40代特有の税金の注意点はあるの?

そこで今回は、40代の方が副業を始めた際に知っておくべき「税金の基礎知識」と「申告方法」について詳しくお伝えしていきます!

副業収入の税金対策や控除の活用方法についても解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください!

副業の収入はいくらから税金がかかる?40代が知るべき基本

まず、副業を始めた40代の方が最初に知っておきたいのが「いくらから税金がかかるのか」という点です。

副業の収入に対する税金は、所得の種類や金額によって異なります。一般的に知られている「20万円の壁」についても正しく理解しておく必要があるでしょう。

副業収入にかかる税金の基本的な仕組み

副業の収入にかかる税金とは、主に所得税と住民税のことを指します。

所得税1年間の所得に対してかかる国税で、収入から必要経費を差し引いた「所得」に対して課税されます。副業の種類によって、所得の計算方法が異なるため注意が必要です。

住民税翌年度に課税される地方税で、あなたの所得に対して一律の税率がかかります。住民税は、所得税と異なり非常にシンプルな計算方法となっているのが特徴です。

「20万円の壁」とは何か

実際、副業の収入はいくらから税金を納める必要があるのでしょうか。

多くの方が副業収入が年間20万円以下なら税金がかからないと誤解していますが、これは正確ではありません。

副業の所得が20万円以下の場合、「確定申告が不要」という意味であって、税金がかからないわけではないのです。実際には、1円でも所得があれば理論上は課税対象となります。

しかし、給与所得者の場合、副業の所得が20万円以下であれば確定申告は不要とされています。ただし、住民税については、会社の給与支払報告書に記載されていない副業所得について、「住民税の申告」を行う必要があるでしょう。

住民税の申告

別途「住民税の申告」は、お住まいの市区町村の役所や役場で行います。具体的には以下の方法があります:

  1. お住まいの市区町村の税務課(住民税担当窓口)で申告する
  2. 市区町村のホームページからダウンロードできる「市民税・県民税申告書」に記入して郵送または持参する
  3. 一部の自治体ではオンラインでの申告に対応している場合もある

申告の期限は通常、毎年3月15日までとなっています(確定申告と同じ期限です)。

申告の際には、副業の収入や経費がわかる資料(たとえば収支内訳書など)を準備しておくと良いでしょう。

なお、確定申告をする場合は、その申告内容が住民税にも反映されるため、別途住民税申告をする必要はありません。「20万円以下で確定申告しない場合」に住民税申告が必要になります。

40代の給与所得者が副業をする場合の税金計算

40代の給与所得者が副業を始めた場合、本業の給与と副業の所得を合算して税金が計算されます。

例えば、年収600万円の会社員が副業で30万円の所得(売上−経費)を得た場合、合計630万円に対する所得税率で計算されることになります。この場合、所得税率が上がる可能性もあるため、税負担が増えることも考えられるでしょう。

また、40代は住宅ローンの返済中や教育費がかかる時期であることが多いため、所得控除をしっかりと活用することで税負担を軽減することも大切です。住宅ローン控除や生命保険料控除などを適切に申告することで、税金の負担を抑えることができます。

副業の確定申告は必要?40代サラリーマンの申告義務

続いては、副業をしている40代サラリーマンが確定申告をする必要があるかどうかについてお伝えしていきます。

会社員の方が副業をする場合、確定申告が必要なケースと不要なケースがあります。特に40代の方は、将来の年金や資産形成を見据えた副業も多いため、正しい申告方法を知っておくことが重要です。

副業の所得が20万円を超える場合

先ほども触れましたが、会社員の方が副業をしている場合、その副業による所得が年間20万円を超えると、確定申告をする義務が生じます。

ここで重要なのは「所得」という概念です。所得とは収入から必要経費を引いた金額のことを指します。例えば、副業の売上が50万円あっても、経費が35万円かかっていれば、所得は15万円となり、確定申告は不要となるでしょう。

ただし、所得が20万円以下でも、住民税の申告は別途必要になることがあります。これを忘れると、後から住民税の請求が来ることもあるため注意が必要です。

確定申告をしないとどうなるか

確定申告が必要なのに行わなかった場合、どうなるのでしょうか。

まず、無申告加算税という罰則が科される可能性があります。これは、本来納めるべき税額の15%(50万円を超える部分は20%)が加算されるものです。さらに、期限から5年を過ぎると、時効が成立するまで税務署からの指摘があれば、納税義務が発生します。

また、確定申告をしないことで、医療費控除や住宅ローン控除などの各種控除を受けられないこともあります。特に40代は、これらの控除を活用できる機会が多い年代であるため、大きな機会損失となるでしょう。

会社にバレずに確定申告する方法はあるか

「副業をしていることを会社に知られたくない」という方も多いかと思います。

実は、確定申告自体は会社に通知されることはありません。しかし、住民税の徴収方法によっては、会社に副業の存在が知られる可能性があるのです。

多くの会社員は、住民税を給与から天引きする「特別徴収」を利用しています。この場合、副業の所得に対する住民税も給与から天引きされるため、住民税額の増加によって副業の存在が会社に察知される可能性があります。

これを避けるには、副業の所得に対する住民税を「特別徴収→普通徴収」にすることで、給与からの天引きを避けることができます。確定申告時に「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」欄で「自分で納付」を選択すれば、普通徴収になるでしょう。

ただし、副業を禁止している会社で副業をすることは、就業規則違反になる可能性があるため注意が必要です。最近では副業を認める企業も増えていますので、まずは会社の方針を確認することをおすすめします。

40代の副業に最適な確定申告の方法とは

ここからは、40代の副業をしている方に向けて、具体的な確定申告の方法についてご紹介していきます。

確定申告には複数の方法がありますが、ライフスタイルや副業の規模に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。特に40代は、本業と副業のバランスを考えながら効率的に申告したいという方も多いでしょう。

確定申告の基本的な流れ

確定申告の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 1年間の収入と経費を集計する
  2. 確定申告書を作成する
  3. 税務署に提出する(または電子申告する)
  4. 納税する

この一連の流れを、毎年2月16日から3月15日までの期間に行う必要があります。40代の方は、仕事や家庭で忙しい時期かもしれませんが、期限に遅れると無申告加算税などのペナルティがかかる可能性があるため注意しましょう。

また、確定申告書の作成には「A様式」と「B様式」がありますが、副業をしている会社員の方は基本的にB様式を使用します。A様式は給与所得や年金所得のみの方向けですが、副業所得がある場合はB様式が必要になるでしょう。

e-Taxを活用した電子申告のメリット

近年、確定申告の方法として注目されているのが電子申告(e-Tax)です。

e-Taxを利用すると、自宅のパソコンやスマートフォンから24時間いつでも申告できるため、平日忙しい40代の方にとって大きなメリットとなります。また、書類の郵送や税務署への訪問が不要になるため、時間の節約にもなるでしょう。

さらに、マイナンバーカードがあれば、源泉徴収票などの添付書類の提出を省略できるケースもあります。40代の方は、本業の仕事に加えて家事や育児などで忙しい方も多いため、このような時間短縮できる方法は積極的に活用したいものです。

e-Taxを利用するには、マイナンバーカードとICカードリーダーまたはマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要になります。準備に少し手間はかかりますが、一度セットアップしてしまえば、翌年からの申告がとても楽になるでしょう。

確定申告書作成コーナーの使い方

国税庁のホームページには「確定申告書等作成コーナー」というサービスがあります。

このサービスを利用すると、質問に答えていくだけで簡単に確定申告書を作成することができます。特にパソコンやインターネットに不慣れな方でも操作しやすいように設計されていて、40代の方でも安心して利用できるでしょう。

作成した申告書は印刷して郵送したり、e-Taxで送信したりすることができます。また、前年のデータを引き継ぐことも可能なため、2年目以降はさらに作業が簡素化されます。

ただし、確定申告書作成コーナーを利用する場合でも、事前に1年間の収入や経費の集計は自分で行う必要があります。日頃から収支を記録しておくことで、確定申告時の作業をスムーズに進めることができるため、クラウド会計ソフトなどを活用することもおすすめです。

40代の副業で使える!税金の控除と節税対策

40代になると、住宅ローンや生命保険、医療費など様々な支出があります。

副業をしている方にとって、これらの支出は税金を節約する重要な要素となります。ここでは、40代の副業で活用できる控除や節税対策についてお伝えしていきます。

副業でも使える主な所得控除

所得控除とは、所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。副業をしている40代の方でも活用できる主な所得控除には以下のようなものがあります。

  1. 基礎控除: すべての方に適用される控除で、所得金額に関わらず48万円が控除されます。
  2. 社会保険料控除: 国民年金や健康保険などの社会保険料を支払っている場合、その全額が控除されます。本業で加入している社会保険料だけでなく、国民年金の任意加入や国民健康保険に加入している場合も対象となります。
  3. 生命保険料控除: 生命保険やがん保険、個人年金保険などの保険料を支払っている場合に適用されます。40代は家族のための保障を考える時期であり、この控除を活用できる方も多いでしょう。
  4. 住宅ローン控除: 住宅ローンを組んで自宅を購入した場合、一定期間にわたり所得税の一部が減額されます。40代は住宅購入のピークとなる年代ですので、この控除の恩恵を受ける方も多いのではないでしょうか。
  5. 医療費控除: 1年間に支払った医療費が10万円(または所得の5%のいずれか少ない方)を超えた場合に適用されます。40代は自身や家族の医療費が増える時期でもあるため、この控除を忘れずに申告しましょう。

副業の経費として認められるもの

副業の所得税を計算する際には、収入から経費を差し引いた金額に対して課税されます。そのため、副業で発生した経費をしっかりと把握しておくことが重要です。

副業の形態によって経費として認められるものは異なりますが、一般的には以下のようなものが経費として認められます。

  1. 材料費・仕入れ費: 商品を販売する副業であれば、その商品の仕入れや材料にかかった費用は経費になります。
  2. 交通費・通信費: 副業に関連する移動や通信にかかった費用は経費として計上できます。例えば、副業の打ち合わせに行くための交通費や、副業のために使用する携帯電話の料金などが該当します。
  3. 備品・消耗品費: パソコンやカメラ、事務用品など、副業に必要な備品や消耗品の購入費も経費になります。ただし、高額な備品は一度に全額を経費にできず、「減価償却」として数年に分けて経費化する必要があるため注意しましょう。
  4. 外注費・委託費: 副業の一部を他の人に依頼した場合の費用も経費として認められます。
  5. 広告宣伝費: 副業の宣伝や集客のための費用も経費です。ウェブサイトの運営費用やSNS広告費などが含まれます。

これらの経費は、領収書やレシートをしっかりと保管しておくことが大切です。税務調査の際に証拠として提示できるよう、最低でも7年間は保管しておくことをおすすめします。

40代におすすめの節税対策

40代の副業をしている方におすすめの節税対策をいくつかご紹介します。

  1. iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用: iDeCoに加入すると、掛金全額が所得控除の対象となります。40代は老後資金の準備を本格的に考える時期でもあるため、節税しながら資産形成ができるiDeCoは特におすすめです。
  2. 小規模企業共済への加入: 副業が個人事業である場合、小規模企業共済に加入することで、掛金全額が所得控除の対象となります。将来の事業リスクに備えながら、現在の税負担も軽減できる一石二鳥の対策といえるでしょう。
  3. 青色申告の活用: 副業の規模が大きくなってきた場合は、「青色申告」を検討してみるのもいいでしょう。青色申告をすることで最大65万円の特別控除が受けられるほか、赤字の繰越控除や家族への給与の経費化など様々なメリットがあります。
  4. 経費の適切な計上: 副業に関連する経費は漏れなく計上することが大切です。例えば、自宅の一部を仕事場として使用している場合、家賃や光熱費の一部を経費として計上できる「家事按分」という方法もあります。
  5. 複数の副業を持つ: 異なる種類の副業を持つことで、片方で赤字が出ても他方の黒字と相殺できる場合があります。ただし、種類によっては損益通算ができないケースもあるため、事前に確認が必要です。

これらの節税対策は、あくまでも法律の範囲内で行うことが重要です。不正な経費計上や収入隠しなどは脱税となり、重い罰則の対象となる可能性があります。適切な節税を心がけましょう。

副業が本業並みに大きくなったら?40代の起業への道

副業を続けていくうちに、収入が増えて本業並みになることもあるでしょう。

特に40代は経験やスキルが豊富なため、副業が大きく成長する可能性もあります。ここでは、副業が本格化した際の選択肢について考えていきましょう。

個人事業主から法人成りを検討するタイミング

副業の規模が大きくなってきたら、「法人成り」を検討するタイミングかもしれません。

法人成りとは、個人事業主から法人(株式会社や合同会社など)へと事業形態を変更することです。一般的に、年間の所得が300万円〜500万円を超えてくると、法人成りによる税制上のメリットが出てくるとされています。

法人化のメリットには以下のようなものがあります。

  1. 節税効果: 個人事業主の場合、所得が増えるほど所得税率が上がりますが(最大45%)、法人税率は一律23.2%(中小企業の場合は軽減税率が適用され、年800万円以下の所得には15%)です。所得が多い場合は法人の方が税負担が少なくなる可能性があります。
  2. 社会的信用の向上: 法人化することで取引先からの信用度が高まり、より大きな取引や契約を獲得しやすくなります。
  3. リスクの分散: 法人化することで、事業のリスクと個人の資産を分けることができます。個人事業主の場合、事業で多額の負債を抱えると個人資産も差し押さえの対象になりますが、法人であれば原則として出資額の範囲内で責任が限定されます。

一方で、法人化には設立費用や維持費用がかかること、事務作業が増えることなどのデメリットもあります。40代の方は家庭や本業との兼ね合いも考慮し、慎重に判断することが大切です。

将来を見据えた事業計画の立て方

副業を本業にするか、あるいは将来の独立を視野に入れている場合、しっかりとした事業計画を立てることが重要です。

40代は、経験や人脈が豊富である一方で、家族の生活もあり、リスクを取りづらい年代でもあります。そのため、以下のようなポイントに注意して計画を立てるといいでしょう。

  1. 資金計画: 独立するためにはどれくらいの資金が必要か、どのように調達するかを考えます。40代は融資を受けやすい年代ですが、家のローンなど既存の債務も考慮する必要があります。
  2. リスク管理: 最悪のケースを想定し、リスクに備えた計画を立てます。例えば、半年分の生活費を貯めておく、段階的に移行するなどの方法があります。
  3. 家族との合意: 独立は家族の生活にも大きく影響します。家族の理解と協力を得ることも成功の鍵となるでしょう。
  4. 健康管理と老後設計: 40代からの起業は、体力的にも挑戦となります。また、年金や保険など老後の備えも考えながら計画を立てることが大切です。

起業時の税金と社会保険の注意点

副業から起業する際には、税金や社会保険についても新たな知識が必要になります。

まず、起業すると、今まで会社が負担していた社会保険料の事業主負担分も自分で支払う必要が生じます。具体的には、健康保険料と厚生年金保険料が約倍になるイメージです。

また、個人事業主になると「事業税」という新たな税金も課されます。これは都道府県に納める地方税で、事業の種類や規模によって税率が異なります。

法人を設立した場合は、「法人住民税」という地方税も発生します。これには、所得に関わらず一定額を納める「均等割」と、所得に応じて納める「法人税割」があります。

さらに、会社員時代は会社が行っていた源泉徴収や年末調整も、自分自身で確定申告を通じて行う必要があります。特に初年度は不慣れな手続きも多いため、税理士に相談するなどして正確に申告することをおすすめします。

このように、起業すると税金や社会保険の面でも大きな変化があります。40代の方は、これらのコストも含めた収支計画を立てることが非常に重要です。

まとめ:40代の副業と税金・申告の関係を理解しよう

ここまで、40代の方向けに副業の税金と申告方法について詳しく解説してきました。

最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。

副業の所得に対する税金は、所得の大きさに関わらず基本的には課税対象となります。ただし、副業の所得が年間20万円以下の場合は確定申告が不要とされています。しかし、この場合でも住民税の申告は必要になる場合があるため注意が必要です。

40代の方は、住宅ローンや生命保険、医療費などの控除を活用することで、税負担を軽減できる可能性があります。また、副業に関連する経費をしっかりと把握し、適切に申告することも大切です。

確定申告はe-Taxや確定申告書作成コーナーなどを利用することで、比較的簡単に行うことができます。特に忙しい40代の方は、これらのツールを活用して効率的に申告することをおすすめします。

副業が本格化してきた場合は、法人化や起業についても検討してみるといいでしょう。ただし、税金や社会保険の仕組みが大きく変わるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に判断することが重要です。

40代は、キャリアの充実期であると同時に、将来への準備も必要な時期です。副業を通じて収入を増やしつつ、適切な税金の知識を身につけることで、より豊かな将来へとつながるでしょう。税金の知識は一見複雑ですが、基本をしっかりと押さえることで、不安なく副業に取り組むことができます!

最後に、この記事で紹介した内容はあくまで一般的な情報です。個別の状況によって適用される税制や控除は異なる場合があります。不安な点があれば、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。副業を通じて、充実した40代を過ごしてください!