「最近の料理、なんだか物足りない気がする……」

そんなふうに感じている40代の方も多いのではないでしょうか。

忙しい毎日の中で、どうしても調味料に頼りがちになってしまう現代の食卓。しかし、本当に美味しい和食の基本は「だし」にあります。

この記事では、初心者でも失敗しないだしの取り方から、忙しい日常に取り入れやすいコツまでを詳しくお伝えしていきます。40代からでも遅くない、本格的な和食の世界を一緒に楽しんでいきましょう!

だしを取ると何が変わる?|40代から始める”本物の味”と健康効果

まず知っていただきたいのが、自分でだしを取ることで得られる驚くべき変化についてです。

単なる「手間」だと思われがちなだし取りですが、実は食卓全体を劇的に変える力を持っています。ここでは、だしが注目される理由から健康効果まで、その魅力をたっぷりとお話ししていきます。

なぜ今「だし」に注目が集まっているのか

近年、だしに対する関心が高まっているのには明確な理由があります。

それは、私たちの味覚が本来持っている「うま味」を感じる力が、現代の食生活で鈍ってしまっているからです。

実際、添加物や化学調味料に慣れ親しんだ現代人の舌は、自然な食材本来の味を感じにくくなっているといわれています。そんな中で、昆布やかつお節から抽出される天然のうま味は、私たちの味覚を本来の状態に戻してくれる貴重な存在なのです。

さらに、だしの持つ深い味わいは、塩分を控えめにしても満足感を得られるという大きなメリットがあります。

市販のだしと自分で取るだしの違い

市販のだしパックや顆粒だしと、自分で取るだしには歴然とした違いがあります。

まず香りの面では、自分で取っただしの方が圧倒的に豊かで上品な香りを楽しめるでしょう。昆布から立ち上る磯の香り、かつお節の燻製のような深い香りは、市販品では再現できない自然の恵みです。

味の面でも大きな差があります。

市販品の多くは味を均一化するために調整されているため、どうしても画一的な味になりがち。一方、自分で取るだしは、その日の昆布やかつお節の状態、水の温度、抽出時間などによって微妙に変化し、それこそが手作りの醍醐味といえるでしょう。

また、添加物を気にせずに済むという安心感も見逃せないポイントです。

うま味がもたらす健康効果と食育の視点

だしに含まれる天然のうま味成分は、私たちの健康にも大きく貢献してくれます。

特に注目したいのが、昆布に含まれるグルタミン酸の働きです。このグルタミン酸は、脳の活性化や疲労回復に効果があるとされており、忙しい40代にとって心強い味方といえます。

さらに、かつお節に含まれるイノシン酸には、新陳代謝を促進する効果があることも知られています。

食育の観点から見ても、だしを取る習慣は非常に価値があるものです。家庭で本格的なだしを取る姿を子どもたちに見せることで、食への関心と日本の食文化への理解を深めてもらえるでしょう。

このように、だしは単なる調味料ではなく、私たちの生活全体を豊かにしてくれる存在なのです。

だしの基本を知ろう|一番だし・二番だしの違いと使い分け

だしについて語る上で避けて通れないのが、一番だしと二番だしの違いです。

この2つのだしを使い分けることで、料理の幅が格段に広がり、より本格的な和食を楽しめるようになります。それぞれの特徴と適切な使い方について、詳しく見ていきましょう。

一番だしとは?味と香りを活かす使い方

一番だしとは、昆布とかつお節から最初に抽出される、最も上品で香り豊かなだしのことです。

その特徴は、なんといっても透明感のある美しい色合いと、繊細で上品な味わいにあります。雑味が少なく、素材本来の味を最大限に引き出してくれるため、和食の基本中の基本といっても過言ではありません。

一番だしが最も力を発揮するのは、お吸い物や茶碗蒸しなど、だしの味がダイレクトに味わえる料理です。

また、上品な煮物や炊き込みご飯にも最適で、素材の味を邪魔することなく、全体の味を引き立ててくれます。特に来客時や特別な日の料理には、ぜひ一番だしを使ってみてください。

一番だしを使う際のポイントは、その繊細さを活かすことです。

二番だしとは?出汁がらをムダにしない知恵

二番だしは、一番だしを取った後の昆布とかつお節を再利用して作るだしのことです。

一番だしと比べると色は濃く、味も力強いのが特徴。これは昆布やかつお節に残っている成分をじっくりと抽出するためで、決して劣っているわけではありません。

むしろ、二番だしには二番だしならではの良さがあります。

その濃厚な味わいは、味付けの濃い料理や煮込み料理に最適で、味噌汁や煮物、炊き込みご飯の味を深く、豊かにしてくれるのです。また、一番だしよりもコクがあるため、洋風の料理にアレンジして使うことも可能でしょう。

二番だしを作ることで、食材を最後まで無駄なく使い切るという、日本料理の精神も学べます。

それぞれのだしに適した料理とは

一番だしと二番だしを適切に使い分けることで、料理の完成度が大きく変わってきます。

一番だしが最適な料理としては、お吸い物、茶碗蒸し、上品な煮物、だし巻き卵などが挙げられます。これらの料理では、だしの繊細な味と香りが主役となるため、一番だしの上品さが存分に活かされるでしょう。

一方、二番だしが活躍するのは、味噌汁、筑前煮、肉じゃが、炊き込みご飯などです。

これらの料理では、だしのコクと深みが他の具材と調和し、全体の味を底上げしてくれます。また、うどんやそばのつゆのベースとしても、二番だしは欠かせない存在です。

このように使い分けることで、それぞれのだしの特性を最大限に活かした料理を楽しめるようになります。

初心者でも失敗しない!昆布とかつお節の基本のだしの取り方

いよいよ、実際のだしの取り方について詳しくお伝えしていきます。

「難しそう」と思われがちなだし取りですが、基本さえ押さえれば誰でも美味しいだしを取ることができるのです。ここでは、材料の選び方から具体的な手順まで、初心者の方でも安心して挑戦できるよう、丁寧にご紹介していきます。

必要な材料と道具をそろえよう

まず、美味しいだしを取るために必要な材料を確認していきましょう。

基本のだしに必要なのは、昆布、かつお節、そして水だけです。昆布は利尻昆布や真昆布などの高級品でなくても、スーパーで売っている一般的なものでも十分美味しいだしが取れます。

かつお節については、削りたてのものが理想的ですが、市販の削り節でも問題ありません。

道具については、特別なものは必要ありません。普通の鍋、ザル、キッチンペーパーまたは布巾があれば大丈夫です。強いて言えば、だしを漉すためのザルは目の細かいものを使うと、より透明で美しいだしが取れるでしょう。

水については、カルキ臭の強い水道水よりも、浄水器を通した水やミネラルウォーターを使うと、より美味しいだしに仕上がります。

一番だしの作り方|時間と火加減のポイント

それでは、一番だしの作り方を詳しく見ていきましょう。

まず、昆布10gに対して水1Lの割合で準備します。昆布は使う前に表面を軽く拭き取りますが、白い粉は旨味成分なので取りすぎないよう注意してください。

昆布と水を鍋に入れ、30分から1時間ほど浸けておきます。

その後、弱火にかけてゆっくりと温度を上げていきます。ここでのポイントは、決して沸騰させないこと。鍋底に小さな泡がポツポツと出てきたら、昆布を取り出しましょう。

次に、かつお節20g程度を一気に入れ、1分ほど煮出したらすぐに火を止めます。

かつお節が沈むまで待ってから、キッチンペーパーを敷いたザルで静かにだしを漉していきます。この時、かつお節を絞ってはいけません。自然に落ちるだしだけを使うのが、透明で美しい一番だしを作るコツです。

だしの保存方法と注意点

取っただしは、できるだけ早く使い切るのが理想的です。

しかし、忙しい日常では難しいこともあるでしょう。そんな時は、冷蔵庫で保存すれば2〜3日は持ちます。ただし、だしは傷みやすいので、必ず清潔な容器に入れ、冷蔵庫の奥の方で保存するようにしてください。

より長期保存したい場合は、冷凍保存がおすすめです。

製氷皿で小分けにして凍らせれば、必要な分だけ使えて便利でしょう。冷凍しただしは1ヶ月程度保存可能ですが、やはり風味は落ちてしまうので、できるだけ早めに使い切ることをお勧めします。

だしを保存する際は、必ず味見をしてから保存し、少しでも異臭がしたら使わないようにしてください。

だしがら、捨てないで!再利用レシピでムダなく美味しく

だしを取った後に残る昆布とかつお節、これらを「だしがら」として捨ててしまうのはもったいない話です。

実は、だしがらにはまだまだ旨味や栄養が残っており、工夫次第で美味しい料理に変身させることができるのです。ここでは、だしがらを無駄なく活用する方法をご紹介していきます。

佃煮やふりかけに|だしがらを活かす簡単レシピ

だしがらの定番活用法といえば、佃煮です。

昆布のだしがらは、細く切って醤油、みりん、砂糖で甘辛く煮詰めれば、ご飯のお供にぴったりの佃煮になります。お好みで唐辛子を加えると、ピリ辛で大人の味わいに仕上がるでしょう。

かつお節のだしがらも、同様に佃煮にできます。

さらに、だしがらを使ったふりかけもおすすめです。だしがらを細かく刻み、フライパンで乾煎りしてから、醤油、みりん、ごまなどを加えて炒り続けます。水分が飛んでパラパラになったら完成で、栄養豊富な手作りふりかけの出来上がりです。

これらの保存食を作っておけば、忙しい朝の食事準備も楽になります。

だしがらの保存とアレンジのコツ

だしがらは、すぐに使わない場合でも適切に保存しておけば、後から活用できます。

冷蔵庫で2〜3日、冷凍庫なら1ヶ月程度保存可能です。冷凍する際は、小分けにしてラップに包んでおくと使いやすいでしょう。

だしがらのアレンジは、佃煮やふりかけだけではありません。

昆布のだしがらは、細かく刻んでサラダに混ぜたり、炒め物に加えたりすると、自然な旨味をプラスできます。また、かつお節のだしがらは、お好み焼きや焼きそばのトッピングとしても美味しくいただけるでしょう。

このように、だしがらも立派な食材として活用することで、食材を無駄なく使い切る喜びを感じられます。

忙しいあなたに|時短でもできる”ゆるだし生活”のススメ

「だしは取りたいけれど、毎日は無理」という方も多いでしょう。

そんな忙しい現代人のために、手軽にだしを楽しむ方法をご提案します。完璧を求めすぎず、自分のライフスタイルに合わせた「ゆるだし生活」を始めてみませんか?

水出しや電子レンジでもOK?手軽なだしの取り方

時間がない時におすすめなのが、水出しだしです。

昆布を水に浸けて冷蔵庫で一晩置くだけで、上品な昆布だしが完成します。この方法なら、朝起きた時にはもう美味しいだしができているので、忙しい朝でも本格的な味噌汁が作れるでしょう。

電子レンジを使った方法もあります。

耐熱容器に昆布と水を入れ、500Wで3〜4分加熱した後、かつお節を加えてさらに1分加熱。その後、しばらく蒸らしてから漉せば、短時間でだしの完成です。火を使わないので、安全で手軽な方法といえるでしょう。

ただし、これらの方法は伝統的な方法と比べて風味は落ちますが、それでも市販のだしパックより格段に美味しいだしが取れます。

だしパックや顆粒との上手な使い分け

完全に手作りにこだわる必要はありません。

時と場合に応じて、だしパックや顆粒だしも上手に活用していきましょう。例えば、平日の忙しい時はだしパックを使い、週末のゆったりした時間に手作りだしを楽しむという使い分けがおすすめです。

だしパックを使う際も、ちょっとした工夫で味をアップできます。

パックを入れる前に水を少し温めておいたり、パックを入れてから少し長めに煮出したりするだけで、より深い味わいになるでしょう。また、手作りだしとだしパックを組み合わせて使うという方法もあります。

大切なのは、「だしを意識した料理」を心がけることです。

「続けやすさ」を優先する考え方

だし生活を続けるためには、完璧を目指さないことが重要です。

「毎日手作りだしを取らなければ」と思い込むと、かえってストレスになってしまいます。まずは週に1〜2回から始めて、慣れてきたら徐々に回数を増やしていけばよいのです。

また、一度にたくさんのだしを取っておいて、小分けして冷凍保存する方法もおすすめです。

これなら手間は一度だけで、数日分のだしが確保できます。忙しい平日でも、解凍するだけで本格的なだしが使えるので、継続しやすいでしょう。

だし生活の目的は、より美味しく、より健康的な食事を楽しむことです。自分のペースで、無理のない範囲で続けていくことが一番大切なのです。

だしを使ったおすすめ和食レシピ3選|毎日の食卓にやさしいうま味を

ここまでだしについて詳しくお話ししてきましたが、実際に料理に活用してこそ意味があります。

そこで最後に、だしの美味しさを存分に味わえる和食レシピを3つご紹介します。どれも基本的な料理ですが、良いだしを使うことで格段に美味しくなる料理ばかりです。

一番だしでつくる基本のお吸い物

一番だしの上品な味わいを最も感じられるのが、シンプルなお吸い物です。

材料は一番だし400ml、塩小さじ1/2、薄口醤油小さじ1、お好みの具材(豆腐、わかめ、三つ葉など)だけ。作り方も簡単で、だしを温めて調味料で味を整え、具材を加えて温めるだけです。

ポイントは、調味料を入れすぎないこと。

だしの美味しさを邪魔しないよう、薄味に仕上げることが大切です。また、具材も主張しすぎないものを選び、だしの香りと味を楽しめるようにしましょう。

上品なお吸い物は、特別な日の食事にもぴったりで、来客時にも喜ばれる一品になります。

二番だしで仕上げる野菜の煮物

二番だしの深いコクを活かすなら、野菜の煮物がおすすめです。

大根、人参、里芋、れんこんなど、お好みの根菜類を使って作ります。二番だし500ml、醤油大さじ2、みりん大さじ2、砂糖大さじ1を合わせた煮汁で、野菜をじっくりと煮込んでいきましょう。

二番だしの濃厚な旨味が野菜に染み込んで、市販のだしでは味わえない深い味わいに仕上がります。

煮物は作り置きができるのも嬉しいポイントです。時間がある時にまとめて作っておけば、忙しい日の夕食にも重宝するでしょう。冷めても美味しく、むしろ味が染みてより美味しくなります。

季節の野菜を使うことで、一年中楽しめる料理です。

だしの香りが引き立つ味噌汁

毎日の食卓に欠かせない味噌汁も、良いだしを使うことで格段に美味しくなります。

二番だし400mlに、お好みの味噌大さじ2〜3を溶かすだけのシンプルな作り方ですが、だしがしっかりしていると味噌の量を減らしても満足感のある味噌汁になるでしょう。

具材は何でも合いますが、だしの味を感じやすい豆腐やわかめ、油揚げなどがおすすめです。

また、季節の野菜を使うことで、旬の味覚も楽しめます。春なら新玉ネギや菜の花、夏なら茄子やオクラ、秋なら大根や白菜、冬なら小松菜やほうれん草といった具合に、一年中変化を楽しめるでしょう。

良いだしで作った味噌汁は、それだけで心も体も温まる、家庭の味の基本となります。

まとめ

40代からのだし生活について、基本的な取り方から活用法まで詳しくお伝えしてきました。

だしを取ることは決して難しいことではありません。基本のポイントを押さえれば、誰でも美味しいだしが取れるようになります。また、完璧を目指さず、自分のペースで続けることが何より大切です。

手作りのだしがもたらす豊かな味わいと香りは、毎日の食事を格段に美味しくしてくれるでしょう。

まずは週末の時間がある時に、一度挑戦してみてください。きっと、その美味しさに驚かれるはずです。そして、だしがある食卓の豊かさを、ぜひご家族と一緒に楽しんでみてください!