「色鉛筆で描いてみたけど、なんだか思ってたのと違う……」 そんな経験はありませんか?
実は、色鉛筆の仕上がりを大きく左右するのは画材そのものよりも「紙選び」なんです。 同じ色鉛筆を使っていても、紙が違うだけで発色も質感もまるで別物になってしまいます。
この記事では、色鉛筆初心者が迷わず選べるおすすめの紙を6つ厳選してご紹介していきます。 リアル系・ふんわり系・水彩色鉛筆といった表現スタイル別の選び方から、失敗しない買い方まで完全ガイドしていきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
水彩色鉛筆とは?普通の色鉛筆との違いを知っておこう
本題に入る前に、この記事でも何度か登場する「水彩色鉛筆」について簡単に説明しておきます。
水彩色鉛筆とは、水に溶ける特殊な芯を使った色鉛筆のこと。 普通の色鉛筆と同じように描いた後、水を含ませた筆でなぞると、まるで水彩絵の具のようにふんわりとにじんで美しいグラデーションが作れます。
通常の色鉛筆は油性やワックスベースの芯なので、水では溶けません。 一方、水彩色鉛筆は水溶性の顔料を使っているため、紙に水分を加えることで色が広がり、独特の柔らかい表現が可能になるんです。
そのため、水彩色鉛筆を使う場合は「水分に強い紙」を選ぶ必要があります。 普通の画用紙やコピー用紙だと、水を含ませた瞬間に紙がヨレヨレになってしまうことも。
この記事では、普通の色鉛筆に適した紙と、水彩色鉛筆に適した紙の両方を取り上げていきますので、自分がどちらを使うかイメージしながら読み進めてみてください!
色鉛筆の発色は”紙で決まる”!きれいに塗れない原因は紙選びにあった
色鉛筆を使い始めた初心者が最初にぶつかる壁、それが「思ったように色が出ない」という悩みです。 実はこれ、色鉛筆の技術不足ではなく、紙選びが原因であることがほとんど。
ここでは、紙が色鉛筆の発色に与える影響について、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます!
なぜ同じ色鉛筆なのに発色が違うの?(コピー用紙がNGな理由)
まず知っておきたいのが、「紙の表面がツルツルすぎると、色鉛筆の色が定着しにくい」という事実です。
色鉛筆は、芯に含まれる顔料やワックスが紙の繊維に引っかかることで色が乗ります。 ところが、コピー用紙のようなツルツルの紙だと、繊維がほとんど表に出ていないため、色鉛筆の芯が滑ってしまうんです。
結果として、何度塗り重ねても薄くて物足りない仕上がりになってしまいます。 さらに、コピー用紙は薄いため、強く塗るとすぐに紙が凹んだり破れたりするリスクも。
「家にある紙で気軽に始めたい」という気持ちは分かりますが、本格的に色鉛筆を楽しみたいなら、専用の紙を使うことが上達への最短ルートです!
紙の質感(紙目)が色ノリに与える影響
次に重要なのが「紙目(かみめ)」と呼ばれる、紙表面の凹凸具合です。
紙目には大きく分けて「細目」「中目」「荒目」の3種類があり、それぞれ色の乗り方がまったく異なります。 細目はツルッとしていて滑らかな質感、中目は適度なザラつき、荒目はゴツゴツとした凹凸が特徴です。
たとえば、リアルで細密な絵を描きたいなら細目の紙が最適。 一方、ふんわりとした柔らかい雰囲気を出したいなら、中目や荒目の紙を選ぶと色鉛筆の粉が凹凸に引っかかり、温かみのある質感が生まれます。
このように、紙目の違いは単なる見た目の問題ではなく、作品の印象そのものを左右する重要な要素なんです。 自分がどんな絵を描きたいかをイメージしながら、紙目を選んでみてください!
重ね塗り・ブレンディングがうまくいかない理由
色鉛筆で美しいグラデーションを作るには、「重ね塗り」や「ブレンディング」と呼ばれるテクニックが欠かせません。 しかし、これらがうまくいかない原因も、実は紙にあることが多いんです。
重ね塗りがうまくいかない最大の理由は、「紙の表面が色で埋まってしまう」から。 紙の繊維に一度色が定着すると、その上からさらに色を重ねても弾かれてしまい、ムラができてしまいます。
これを防ぐには、ある程度厚みがあり、表面に適度な凹凸がある紙を選ぶことが大切です。 凹凸があると、最初の色が凹部分に入り込み、次の色が凸部分に乗るため、自然なグラデーションが生まれやすくなります。
また、ブレンディング(色同士をなじませる技法)をするなら、紙の表面がデリケートすぎないものを選びましょう。 擦る作業が多いため、紙が毛羽立ちやすいものだと仕上がりが汚くなってしまいます!
初心者が最初に感じやすい”違和感”の正体
「YouTubeで見た通りに塗ったのに、なんか違う……」 こんな違和感を抱えている初心者の方、実はとても多いんです。
この違和感の正体は、ズバリ「紙の違い」にあります。 多くのイラストレーターやYouTuberは、自分の表現スタイルに合った専用の紙を使っているため、同じ色鉛筆を使っていても仕上がりが全然違って見えるんです。
たとえば、リアル系の絵を描く人はケント紙のような滑らかな紙を使い、ふんわり系の絵を描く人は画用紙のようなザラつきのある紙を選んでいます。 この違いを知らずに「とりあえず家にあった紙」で練習していると、どうしても参考作品と同じ雰囲気にはならないんです。
逆に言えば、自分の目指す表現に合った紙を選ぶだけで、グッと理想の仕上がりに近づけます。 「どうして絵が上手く見えないの?」という疑問は、紙を変えるだけで驚くほど解消されることも多いので、ぜひ試してみてください!
紙の種類と特徴をやさしく解説|ケント紙・画用紙・水彩紙はどう違う?
ここからは、色鉛筆でよく使われる3つの紙(ケント紙・画用紙・水彩紙)について、それぞれの特徴を初心者にも分かりやすく解説していきます。 専門用語が並ぶと混乱してしまうので、できるだけシンプルにお伝えしていきますね!
ケント紙|リアル系・細密画に強い”なめらかな紙”
ケント紙は、表面が非常に滑らかで、まるで上質なコピー用紙をもっと厚くしたような質感の紙です。 紙目がほとんどないため、細かい線もスッと引けて、リアルな質感や細密画を描くのに最適。
たとえば、動物の毛並みや人物の肌の質感など、細部までしっかり描き込みたいときにケント紙は本領を発揮します。 色鉛筆の芯が滑らかに走るため、ムラが出にくく、均一な塗りができるのも大きな魅力です。
ただし、表面が滑らかすぎるため、ふんわりとした柔らかい表現には向きません。 また、重ね塗りをしすぎると紙の表面がテカってしまうこともあるので、塗り方には少しコツが必要です。
SNSでよく見かける「リアル系イラスト」の多くはケント紙で描かれていることが多いので、そういった作風を目指す方にはぴったりの紙と言えます!
画用紙|ふんわり塗りたい人の定番。重ね塗りしやすい理由
画用紙は、学校の図工の時間に使ったあの紙です。 適度なザラつきがあり、色鉛筆の芯が引っかかりやすいため、初心者でも扱いやすいのが最大の特徴。
画用紙の表面には細かい凹凸があるため、色鉛筆の粉がしっかりと紙に定着します。 そのため、重ね塗りをしてもムラになりにくく、自然なグラデーションが作りやすいんです。
さらに、ケント紙と比べて厚みもあるため、強めの筆圧で塗っても紙が凹みにくいのもポイント。 色を何層にも重ねたい人や、ふんわりとした温かい雰囲気を出したい人には、画用紙が一番おすすめです。
価格も手頃で、文房具店やネット通販でも簡単に手に入るため、「とりあえず色鉛筆を始めてみたい」という方にも最適。 迷ったらまず画用紙から試してみるのが、失敗しない選択と言えます!
水彩紙|水彩色鉛筆や多層表現に最適な”コットン紙”の魅力
水彩紙は、その名の通り水彩絵の具を使うために作られた紙ですが、実は色鉛筆との相性も抜群なんです。 特に、水彩色鉛筆を使う場合は、水彩紙がほぼ必須と言っても過言ではありません。
水彩紙の最大の特徴は、「水分に強い」こと。 コットン(綿)を含んだものが多く、水を含ませてもヨレたり波打ったりしにくい構造になっています。
さらに、表面の凹凸がしっかりしているため、色鉛筆の粉がたっぷり乗りやすく、何度も重ね塗りができるのも魅力です。 普通の色鉛筆でも、深い色合いや立体感を出したいときには水彩紙が向いています。
ただし、画用紙やケント紙に比べるとやや価格が高く、初心者にはハードルが高いと感じるかもしれません。 とはいえ、本格的に作品を仕上げたいなら、ぜひ一度試してみる価値のある紙です!
紙目(細目・中目・荒目)による描き心地の違い
先ほども少し触れましたが、紙目は色鉛筆の描き心地に直結する重要な要素です。 ここでは、細目・中目・荒目それぞれの特徴をもう少し詳しく見ていきます。
細目は、表面が非常に滑らかで、ほとんど凹凸を感じません。 ケント紙や、水彩紙の中でも「ホットプレス」と呼ばれるタイプがこれに該当します。細かい描き込みに向いていて、リアルな表現を目指す人におすすめです。
中目は、適度なザラつきがあり、最もバランスの取れた紙目。 画用紙や、水彩紙の「コールドプレス(中目)」がこのタイプに当たります。ふんわりとした塗りもできるし、ある程度細かい表現も可能なので、初心者に一番向いています。
荒目は、ゴツゴツとした凹凸が特徴で、ラフで力強い表現に最適。 水彩紙の「ラフ」と呼ばれるタイプがこれに該当します。色鉛筆だけで使うことは少ないですが、水彩色鉛筆と組み合わせると独特の風合いが出せます。
自分がどんな絵を描きたいかによって、最適な紙目は変わってきます。 最初はいくつか試してみて、自分の好みを見つけていくのが一番です!
厚さ・ホットプレス/コールドプレスを簡単に理解する図解
紙選びでもう一つ重要なのが「厚さ」と「製法の違い」です。 特に水彩紙には「ホットプレス」「コールドプレス」という専門用語が出てくるため、初心者は混乱しがち。
まず厚さについては、「g/㎡(グラム・パー・平方メートル)」という単位で表されます。 一般的な画用紙は126.5g/㎡程度、水彩紙は200g/㎡〜300g/㎡が主流です。数字が大きいほど厚く、重ね塗りに強くなります。
次に、ホットプレスとコールドプレスの違いについて。 ホットプレスは、熱を加えながらローラーで紙を圧縮して作るため、表面がツルツルの「細目」に仕上がります。リアルな描写向きです。
一方、コールドプレスは、熱を加えずに圧縮するため、適度な凹凸が残り「中目」の質感になります。 色鉛筆の粉がしっかり引っかかるので、重ね塗りや柔らかい表現に向いています。
この2つの違いを図で表すと、こんなイメージです。
- ホットプレス → 表面滑らか → 細密画・リアル系
- コールドプレス → 表面ザラザラ → ふんわり・重ね塗り
最初は「中目のコールドプレス」を選んでおけば、幅広い表現に対応できるので失敗しにくいですよ!
【まずは3つだけ】初心者でも失敗しない色鉛筆におすすめの紙3選
ここからは、初心者がまず手に取るべき紙を3つに絞ってご紹介していきます。 どれも手が出しやすい価格で、ネット通販でも簡単に買えるものばかりです!
① KMKケント紙|SNSで人気の”リアル系向け定番紙”
まず最初にご紹介するのが、KMKケント紙です。 SNSでリアル系イラストを描いている人のほとんどが使っている、と言っても過言ではないほど人気の紙。
表面が非常に滑らかで、色鉛筆の芯がスーッと走るため、細かい線や繊細な描き込みがしやすいのが最大の特徴です。 動物の毛並み、人物の肌、ガラスや金属の質感など、リアルに描きたいならこの紙一択と言えます。
厚さは210g/㎡前後で、しっかりとした厚みがあるため、重ね塗りにも十分耐えられます。 ただし、表面が滑らかすぎるため、ふんわりとした柔らかい表現には向きません。
価格はA4サイズ100枚入りで1,500円前後(Amazon)と、コストパフォーマンスも優秀。 「リアル系の絵を描いてみたい」という方は、まずKMKケント紙から始めてみることをおすすめします!
② マルマン図案スケッチブック|ふんわり塗りたい初心者の神アイテム
次にご紹介するのが、マルマン図案スケッチブックです。 これは、多くのイラストレーターや趣味で絵を描く人に愛され続けている、超定番のスケッチブック。
紙質は画用紙タイプで、適度なザラつきがあり、色鉛筆の粉がしっかり引っかかります。 そのため、重ね塗りがしやすく、ふんわりとした柔らかい雰囲気の絵が描きやすいんです。
厚さは126.5g/㎡で、一般的な画用紙と同じくらい。 あまり強い筆圧で塗りすぎると紙が凹むこともありますが、普通に使う分には問題ありません。
価格はB5サイズ(24枚)で400円前後、A4サイズ(24枚)で600円前後(Amazon)と非常にリーズナブル。 「とりあえず色鉛筆を始めてみたい」という初心者には、これ以上ないくらいぴったりの紙です!
③ ヴィフアール細目|練習から本番まで使える万能水彩紙
最後にご紹介するのが、ヴィフアール細目です。 これは水彩紙の中でも初心者に優しい価格帯で、なおかつ品質も十分なバランス型の紙。
表面は細目なので、ケント紙ほど滑らかではありませんが、適度になめらかで描きやすい質感です。 普通の色鉛筆でも使えますし、水彩色鉛筆を使いたい人にも対応できるため、「どちらも試してみたい」という方に最適。
厚さは300g/㎡としっかりしているため、何度も重ね塗りしても紙がヨレません。 さらに、水を含ませても波打ちにくいので、水彩色鉛筆で本格的な表現を楽しみたい人にもおすすめです。
価格はF4サイズ(10枚)で1,200円前後(Amazon)と、水彩紙としては手が出しやすい価格帯。 練習用としてはもちろん、そのまま作品として仕上げても十分なクオリティが出せる紙です!
初心者はこの3種類から1つ選べばOKな理由
ここまで3つの紙をご紹介してきましたが、「結局どれを選べばいいの?」と迷っている方もいるかもしれません。 実は、この3つは表現スタイル別にきれいに分かれているため、自分の描きたい絵に合わせて選ぶだけでOKなんです。
- リアル系・細密画を描きたい → KMKケント紙
- ふんわり・柔らかい絵を描きたい → マルマン図案スケッチブック
- 水彩色鉛筆を使いたい → ヴィフアール細目
このように、目的別に選べば失敗することはほぼありません。 また、最初は1種類に絞らず、2〜3種類試してみるのもおすすめです。実際に描いてみると、自分の好みがはっきりしてきます。
「どうしても決められない」という方は、まずマルマン図案スケッチブックから始めてみてください。 価格も安く、どんな絵柄にも対応しやすいので、一番失敗しにくい選択です!
ネットで買える”失敗しない選び方”とサイズの選び方
紙を選ぶとき、もう一つ迷うのが「サイズ」ですよね。 ここでは、初心者が選ぶべきサイズと、ネットで買うときの注意点をお伝えしていきます。
まず、サイズについてはA4またはB5がおすすめです。 A4は一般的なコピー用紙と同じサイズで、ある程度大きな絵も描けますし、持ち運びにも便利。B5はA4より一回り小さく、気軽にサッと描きたいときに最適です。
逆に、A3以上の大きなサイズは初心者には扱いづらいため、慣れてから挑戦するのがベター。 また、ポストカードサイズ(A6)などの小さいサイズは、細かい描き込みが難しいので、練習用としてはあまりおすすめしません。
次に、ネットで買うときの注意点について。 Amazonや楽天で購入する場合、必ず「枚数」と「厚さ(g/㎡)」を確認してください。同じ商品名でも、サイズや枚数が違うことがあるためです。
また、レビューをチェックして「色鉛筆に使えるか」を確認するのも重要。 水彩紙の中には「水彩絵の具専用」と書かれているものもあるため、色鉛筆での使用を想定しているかどうかを見ておくと安心です!
表現スタイル別|リアル系・ふんわり系・水彩色鉛筆に最適な紙の選び方
ここからは、さらに一歩踏み込んで、自分の描きたい表現スタイルに合った紙の選び方を詳しく解説していきます。 「リアル系」「ふんわり系」「水彩色鉛筆」それぞれに最適な紙を知ることで、作品のクオリティがグッと上がりますよ!
リアル・細密画におすすめの紙(ケント紙中心)
リアル系の絵を描くなら、紙選びで最も重視すべきは「表面の滑らかさ」です。 細かい線をスムーズに引けることが、リアルな質感を表現するための絶対条件。
先ほどご紹介したKMKケント紙はもちろん、他にも「BBケント紙」や「ミューズケント紙」といった選択肢があります。 どれも表面が滑らかで、色鉛筆の芯が引っかからずに走るため、細密画に最適です。
また、ケント紙の中でも厚さが200g/㎡以上のものを選ぶと、重ね塗りに強く、紙が凹みにくくなります。 特に、黒や濃い色を何度も重ねるようなリアル系作品では、厚みのある紙が必須です。
ただし、ケント紙は表面が滑らかすぎるため、筆圧が弱い人だと色が薄く感じることも。 その場合は、少し力を入れて塗るか、重ね塗りの回数を増やすことで対応してみてください!
ふんわり塗りたい人におすすめの紙(画用紙・中目)
ふんわりとした柔らかい雰囲気の絵を描きたいなら、紙目が「中目」の紙を選ぶのがポイントです。 適度なザラつきがあることで、色鉛筆の粉が自然に広がり、温かみのある質感が生まれます。
マルマン図案スケッチブックのような画用紙タイプはもちろん、水彩紙の「コールドプレス(中目)」もおすすめ。 水彩紙の中目は画用紙よりもさらに凹凸がしっかりしているため、色の重なりが美しく表現できます。
また、ふんわり系の絵を描く場合、筆圧は弱めに、何度も重ね塗りをすることが多いです。 そのため、紙の厚さは最低でも126.5g/㎡以上、できれば200g/㎡前後のものを選ぶと安心。
色鉛筆の粉がたっぷり乗る紙を使うことで、グラデーションも自然に仕上がります。 「優しい雰囲気の絵が好き」という方は、ぜひ中目の紙を試してみてください!
水彩色鉛筆なら”にじみに強い”水彩紙が正解
水彩色鉛筆を使うなら、絶対に外せないのが「水分に強い紙」です。 普通の画用紙やケント紙では、水を含ませた瞬間に紙がヨレてしまい、せっかくの作品が台無しになってしまいます。
水彩紙の中でも、特におすすめなのが「コットン紙(綿100%)」と呼ばれるタイプ。 コットン配合率が高いほど、水を吸っても紙が波打ちにくく、乾いた後も平らな状態を保てます。
また、水彩色鉛筆を使う場合は、紙の厚さも重要です。 最低でも200g/㎡、できれば300g/㎡以上の厚さがある紙を選ぶと、水を含ませても紙がヨレにくく、安心して作業できます。
先ほどご紹介したヴィフアール細目のほか、「ワトソン」「アルシュ」「ウォーターフォード」といった水彩紙も人気です。 価格はやや高めですが、水彩色鉛筆の美しいにじみを最大限に引き出せるため、本格的に取り組みたい方にはおすすめですよ!
人物/花/風景…描くモチーフ別のおすすめ紙リスト
ここでは、描くモチーフ別に最適な紙をリストアップしていきます。 自分がよく描くモチーフに合わせて選ぶと、より理想的な仕上がりに近づけますよ!
人物画(肌の質感を出したい) → KMKケント紙、BBケント紙など「細目」の紙がおすすめ。肌の滑らかさを表現しやすく、細かい陰影も描き込めます。
花(柔らかい雰囲気を出したい) → マルマン図案スケッチブック、水彩紙の中目がおすすめ。花びらのふんわりとした質感が自然に表現できます。
風景(空気感を出したい) → 水彩紙の中目〜荒目がおすすめ。特に水彩色鉛筆と組み合わせると、遠近感や空気の透明感が美しく表現できます。
動物(毛並みを細かく描きたい) → KMKケント紙、ミューズケント紙など「細目」の紙がおすすめ。一本一本の毛を丁寧に描き込むには、滑らかな紙が最適です。
静物(リアルな質感を出したい) → ケント紙または水彩紙の細目がおすすめ。ガラスや金属、果物の質感をリアルに表現できます。
このように、モチーフによって最適な紙は変わってきます。 最初はいろいろ試してみて、自分の好みを見つけていくのが一番です!
自分の画風を見つけるための”紙のテスト方法”
「結局、自分にはどの紙が合っているのか分からない……」という方もいるかもしれません。 そんなときは、実際に複数の紙を試してみるのが一番の近道です。
おすすめのテスト方法は、同じモチーフを3種類の紙に描いてみること。 たとえば、リンゴを描くなら、ケント紙・画用紙・水彩紙の3つに同じリンゴを描いて、仕上がりを比べてみてください。
このとき、色の乗り方、質感の違い、描きやすさなどをメモしておくと、自分の好みがはっきりしてきます。 「この紙だと色が鮮やかに見える」「この紙は重ね塗りがしやすい」といった発見があるはずです。
また、SNSで好きなイラストレーターが使っている紙をチェックするのもおすすめ。 多くのクリエイターは、投稿のキャプションや概要欄で使用している画材を紹介しているため、参考にしてみるといいですよ!
【中級者向け】作品クオリティを一段上げたい人のための紙3選
ここからは、ある程度色鉛筆に慣れてきた中級者向けに、さらにワンランク上の紙をご紹介していきます。 価格はやや高めですが、その分クオリティは段違いです!
① ストーンヘンジ|プロも愛用する発色と耐久性
まず最初にご紹介するのが、ストーンヘンジです。 これは、プロのイラストレーターや画家にも愛用者が多い、高品質な紙。
ストーンヘンジの最大の特徴は、**コットン100%**で作られていること。 そのため、色鉛筆の粉がしっかりと定着し、発色が非常に鮮やかで美しいんです。
また、表面の質感が独特で、滑らかすぎず、かといってザラザラすぎない絶妙なバランス。 重ね塗りを何度繰り返しても紙が毛羽立ちにくく、仕上がりがとてもクリーンです。
厚さは250g/㎡で、しっかりとした厚みがあるため、作品としての保存性も抜群。 価格はA4サイズ(10枚)で2,000円前後(Amazon)と、やや高めですが、本格的な作品を仕上げたい方にはぜひ試してほしい紙です!
② ウォーターフォード細目|水彩色鉛筆との相性◎
次にご紹介するのが、ウォーターフォード細目です。 これは、水彩紙の中でも特に水彩色鉛筆との相性が良いと評価されている紙。
ウォーターフォードもコットン100%で、水を含ませても紙が波打ちにくく、乾いた後もピンと平らな状態を保ちます。 そのため、水彩色鉛筆で何度も水を加えながら描いていくような表現に最適なんです。
また、細目タイプなので表面が適度に滑らかで、細かい描き込みもしやすいのが魅力。 普通の色鉛筆で使っても十分美しい仕上がりになるため、「水彩色鉛筆と普通の色鉛筆を両方使いたい」という方にもおすすめです。
厚さは300g/㎡としっかりしているため、重ね塗りや水の使用にも十分耐えられます。 価格はF4サイズ(10枚)で2,500円前後(Amazon)と高級紙の部類に入りますが、その分クオリティは折り紙付きです!
③ アルシュ|コットン100%の”作品用最高級紙”
最後にご紹介するのが、アルシュです。 これは、水彩紙の中でも「最高峰」と言われるほどのブランドで、世界中のアーティストに愛されています。
アルシュの最大の特徴は、伝統的な製法で作られたコットン100%の紙であること。 機械で大量生産される紙とは違い、職人の手で一枚一枚丁寧に作られているため、質感や発色が別格です。
色鉛筆の粉がしっかりと定着し、何度重ね塗りをしても色がにごらず、鮮やかな発色が保たれます。 また、紙の厚さも300g/㎡以上あるため、水彩色鉛筆を使っても全く問題ありません。
さらに、アルシュは耐光性や保存性にも優れているため、「作品として長く残したい」という方には最適です。 価格はF4サイズ(10枚)で4,000円前後(Amazon)と非常に高価ですが、その価値は十分にあります!
高級紙を使うと作品はどう変わる?比較ポイント
「高級紙って、本当に普通の紙と違うの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。 実際、初心者のうちは価格の差ほど違いを感じにくいこともあります。
ただし、色鉛筆に慣れてくると、高級紙の良さがはっきりと分かるようになります。 具体的には、以下のような違いが現れるんです。
発色の鮮やかさ 高級紙は紙の繊維が均一で、色鉛筆の粉がムラなく定着するため、発色が格段に美しくなります。
重ね塗りのしやすさ 何度重ね塗りをしても紙が毛羽立たず、色がにごりにくいのが高級紙の強みです。特に、深い色合いを出したいときに違いが出ます。
描き心地の滑らかさ 紙の表面が均一で、色鉛筆の芯がスムーズに走るため、描いていてストレスを感じません。
作品の保存性 高級紙は耐光性や耐久性に優れているため、時間が経っても色あせにくく、作品として長く残せます。
このように、高級紙には明確なメリットがあります。 とはいえ、最初から高級紙を使う必要はないので、慣れてきたら少しずつ試してみるのがおすすめです!
保存性・耐光性など”作品として残す”なら知るべき基準
色鉛筆で描いた作品を「ずっと残したい」と思ったとき、紙選びで重視すべきなのが「保存性」と「耐光性」です。 これらは、作品が時間とともに劣化しないための重要な要素。
まず、保存性について。 紙は時間が経つと酸化して黄ばんだり、もろくなったりします。これを防ぐには、「酸性紙」ではなく「中性紙」または「アルカリ性紙」を選ぶことが大切です。
高級な水彩紙の多くは中性紙で作られているため、保存性に優れています。 購入するときは、商品説明に「アシッドフリー(酸性成分を含まない)」と書かれているかをチェックしてみてください。
次に、耐光性について。 色鉛筆の色は、紫外線に長時間さらされると徐々に色あせてしまいます。紙自体の耐光性が高ければ、作品全体の劣化を遅らせることができます。
特に、額縁に入れて飾る予定がある作品なら、耐光性の高い紙を選ぶことをおすすめします。 アルシュやウォーターフォードといった高級紙は、耐光性にも優れているため、作品用として安心です!
紙の違いがひと目でわかる!実際に描いた比較サンプルと選び方のコツまとめ
ここまで、さまざまな紙の特徴や選び方をお伝えしてきました。 最後に、実際に同じモチーフを異なる紙に描いた場合の違いを比較し、紙選びで失敗しないコツをまとめていきます!
ケント紙/画用紙/水彩紙で同じモチーフを描いた比較(例:リンゴ)
ここでは、「リンゴ」を例に、ケント紙・画用紙・水彩紙(中目)の3種類で描いた場合の違いを見ていきます。 紙によって、まったく違う印象の作品になるのが分かるはずです。
KMKケント紙で描いたリンゴ 表面が滑らかなケント紙では、リンゴの表面のツヤ感がリアルに表現できます。 色鉛筆の芯がスムーズに走るため、細かいハイライトや影の描き込みもしやすく、まるで写真のような仕上がりに。ただし、ふんわりとした質感は出しにくいため、リンゴの柔らかさよりも「ピカピカした質感」が強調されます。
マルマン図案スケッチブック(画用紙)で描いたリンゴ 画用紙の適度なザラつきにより、リンゴの表面に温かみが生まれます。 色の重なりが自然で、グラデーションも滑らか。ケント紙ほどツヤツヤした質感は出ませんが、その分「優しくて柔らかいリンゴ」といった印象に仕上がります。初心者でも扱いやすく、失敗しにくいのも魅力です。
ヴィフアール細目(水彩紙)で描いたリンゴ 水彩紙の凹凸がしっかりしているため、色鉛筆の粉がたっぷり乗り、発色が非常に鮮やかです。 重ね塗りを何度繰り返しても紙が毛羽立たず、深い色合いが表現できます。また、水彩色鉛筆を使えば、リンゴの影やグラデーションをふんわりとにじませることも可能。ただし、細かい描き込みはケント紙に比べるとやや難しいです。
このように、同じリンゴを描いても、紙によって全く違う雰囲気になります。 自分がどんな表現を目指すかによって、最適な紙を選んでみてください!
紙選びでよくある失敗とその回避法
ここでは、色鉛筆初心者が紙選びでよくやってしまう失敗と、その回避法をお伝えしていきます。 事前に知っておくだけで、無駄な買い物を避けられますよ!
失敗①:コピー用紙で描いてしまう コピー用紙は表面が滑らかすぎて、色鉛筆の粉が定着しにくいため、発色が悪くなります。 回避法 → 最低でも画用紙かケント紙を使いましょう。
失敗②:水彩色鉛筆なのに普通の画用紙を使ってしまう 水彩色鉛筆は水を使うため、普通の画用紙では紙がヨレてしまいます。 回避法 → 必ず水彩紙(200g/㎡以上)を使ってください。
失敗③:紙が薄すぎて破れてしまう 薄い紙は重ね塗りに弱く、強い筆圧で塗ると破れることがあります。 回避法 → 厚さ126.5g/㎡以上の紙を選びましょう。
失敗④:紙目が合わず、思った仕上がりにならない リアル系を描きたいのに荒目の紙を使ったり、逆にふんわり系を描きたいのに細目を使ったりすると、イメージ通りに仕上がりません。 回避法 → 自分の描きたい表現に合った紙目を選びましょう。
これらの失敗を避けるだけで、グッと満足度の高い作品が仕上がります。 最初は試行錯誤しながらでも、自分に合った紙を見つけていきましょう!
この記事の内容を元にした”あなたに合う紙診断チャート”
最後に、「結局どの紙を選べばいいか分からない」という方のために、簡単な診断チャートをご用意しました。 以下の質問に答えるだけで、自分に最適な紙が分かりますよ!
Q1. どんな絵を描きたいですか? A. リアルで細密な絵 → Q2へ B. ふんわり柔らかい絵 → Q3へ C. 水彩色鉛筆を使いたい → Q4へ
Q2. リアル系の中でも、どちらが好きですか? A. 人物や動物の毛並みなど、細かい描き込み → KMKケント紙 B. 静物や風景など、質感重視 → ストーンヘンジ
Q3. ふんわり系の中でも、どちらが好きですか? A. とにかく手軽に始めたい → マルマン図案スケッチブック B. 少し本格的に取り組みたい → ヴィフアール細目
Q4. 水彩色鉛筆で何を重視しますか? A. コストを抑えて練習したい → ヴィフアール細目 B. 作品として仕上げたい → ウォーターフォード細目またはアルシュ
このチャートを参考に、自分にぴったりの紙を見つけてみてください。 迷ったら、まずは安価な紙から試してみて、徐々にステップアップしていくのがおすすめです!
まとめ
色鉛筆で思い通りの作品を仕上げるには、紙選びが何よりも重要です。 同じ色鉛筆を使っていても、紙が違うだけで発色も質感もまるで変わってしまいます。
この記事でご紹介した通り、リアル系ならケント紙、ふんわり系なら画用紙、水彩色鉛筆なら水彩紙といったように、表現スタイルに合わせて紙を選ぶことが大切です。 最初は手が出しやすい価格の紙から試してみて、慣れてきたら高級紙にも挑戦してみてください。
また、紙選びで迷ったら、まずはマルマン図案スケッチブックから始めてみるのがおすすめ。 どんな表現にも対応しやすく、価格も手頃なので、初心者にとって一番失敗しにくい選択です。
色鉛筆の楽しさは、自分に合った紙と出会うことで何倍にも広がります。 ぜひこの記事を参考に、あなたにぴったりの紙を見つけて、色鉛筆ライフを思い切り楽しんでみてください!





